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文京区の給付型奨学金と貧困の連鎖について
こんにちは、母子家庭育ちのライターです。※私のツイッターアカウントはこちら、お気軽にフォローくださいね。
先日、東京都の文京区は「給付型奨学金」なる制度を打ち出すことを決め、実現に向かうことが明らかとなりました。
今回はその文京区の給付型奨学金の概要と、「貧困の連鎖」に関するお話をさせていただければと思います。
1人1回10万円がもらえる?文京区の給付型奨学金とは
今回話題になっている文京区の給付型奨学金についてわかっていることをご紹介します。
まず大前提としまして、今回の奨学金は「給付型」ということで受け取ったお金を返す必要はありません。いわばもらえるお金です。
ただし、受け取れる学生の条件としましては、
- 高等学校への入学が予定されていること
- 経済的な事情から修学が難しいこと
- 受け取れるのは1人1回
といったものがあります。
このなかで注目すべきは1人1回しかもらえないということです。下記の金額を受け取った後は、もう何もありません。
- 国公立の高等学校:6万円
- 私立の高等学校:10万円
公立にしても市立にしても、入学時には制服や教科書等で多くの出費が予想されますから、6万円ないし10万円もらえるのはありがたいことです。とりわけ私のような母子家庭育ちの子どもにとっては、大きな助けになるはずです。
ですが、受け取った後はもう何もなし。ここが私の気になるポイントです。
「これ以上何を望むんだ?」と怒られそうな気もしますが、私が気になるのには理由があります。
もらったらもう終わり?私が給付型奨学金で気になること
今回の給付型奨学金は、1人1回もらった後はもう終わり。もらえること自体はとてもありがたいことだとは思います。給付型奨学金の流れが広がることで助かる学生も多くいるはずです。
しかし、今回の給付型の奨学金は言ってみれば「ばらまき」です。決まったお金を渡した後はもう何もないんです。
私が気になることは下記の通りです。
- 奨学金として渡されたお金が、本当に学業に活かされたのか
- その奨学金だけで果たして本当に子どもが学校に通いきれたのか。
- 高校に通い続けて、就職ないし進学が果たせたのか
これらの点をどれだけ行政が把握するのか、そもそも把握する意思はあるのかどうかが気になるんですよね。
貧困の連鎖は、高校卒業の有無で決まるといっても過言ではない
そもそも今回の奨学金は、経済的に厳しい家庭の子どもを救うことを念頭に置いた奨学金です。
正直にいって、今回の奨学金だけで子どもが高校に通いきれるのかどうかには疑問ですし、その実態を行政が把握しないのであれば非常によろしくありません。
高校を中退するのとしないのとでは、後々の経済状況にも大きな影響が出ます。早い話が高校を中退してしまえば、その子どもは小さい頃と同じように、自分の家庭も貧しくしてしまう可能性があるのです。これが貧困の連鎖です。
貧しい家庭の子どもは学校に通いたいのにも関わらず、学校を中退してしまったり、そもそも通うという選択肢さえとれないこともあります。
高校を卒業するということはその子どもの将来の可能性を広げることを意味します。
そこからさらに大学進学がかなうのであれば、その可能性はもっと広がりますよね。高校は人生のうちでも最も重要なステップと言っても過言ではないかもしれません。※できることなら、全高校生に絶対に卒業させてあげたい…。
そしてこれは本当に私の偏見であり穿った見方なのですが、文京区が「あげて終わり」の姿勢をとるのであれば、
と言いたいだけなのかなというような気も私はしています。
本当に貧しい家庭の子どもを助ける気があるのなら、奨学金を渡した後にその子ども(学生)が高校に通いきれるようにサポートすることが重要です。「あげて終わり」なのではなく、その他の経済的な支援や相談、高校卒業や進学・就職の道筋を立ててあげることが重要です。
このあたりの支援を徹底してこそ、今回の給付型奨学金が貧困の連鎖を食い止める糸口になるのではないでしょうか。
まとめ:徹底した給付型奨学金!これが全国にも広がればもっと変わる、もっと良くなる
今回お話させていただいたように、給付型奨学金はありがたいものではあるものの、奨学金を渡した後の支援や調査もすることが重要です。
「あげて終わり」ではちょっと無責任でしょう…。経済的に困っている子どものことを本気で考えるのならば、高校に通いきれるように配慮しなくてはなりません。奨学金をもらっても高校を中退してしまうようだと、貧困の連鎖は再び起こるでしょう。
とはいえ、今回の給付型奨学金を推進する動きそのものは非常に評価できることです。色々と偉そうなことを言ってしまいましたが、この動きが全国に広がっていけば、多くの家庭が救われより良い未来をつくっていくことができると思います。