サンタは毎年どこの家にもやってくる?
こんにちは、母子家庭育ちのライターです。※私(どん兵衛)のツイッターアカウントはこちら、お気軽にフォローくださいね。
クリスマスも近いということで、今回は母子家庭育ちの私とサンタの話をゆる~くお届けしたいと思います。
毎年どこの家にもやってくるサンタ。でも彼は本当に、どこの家にもくるのでしょうか?
母子家庭の我が家に来なくなったサンタ
中学生の頃、私の家は母子家庭になった。
自分の母と祖母(姑)の関係が悪いことは薄々感じていたけれど、まさか自分の家庭が本当に母子家庭になるとは思わなかった。母子家庭なんてニュースのなかの出来事で「母子家庭が増えています」なんてキャスターのコメントは他人事だと思っていた。でも現実になった。
母子家庭になってからの私の家はイベントごとが減った。遠くへ外出すること、アウトドアをすること、ビデオカメラを回し家族揃っての運動会…。減ったことはどれも父親が率先してやっていたことだった。
クリスマスもそうだ。クリスマスになるとやってくるサンタも父親がやっていたのだ。
クリスマスイブの夜になると「早く寝ないとサンタさんが来なくなるぞ」と急かす父。
子どもが寝静まった頃にプレゼントを置きに来る父。
私が小学校高学年になった頃に「実はお父さんがサンタをやっていたんだ」と私にバラす父。
クリスマスイブとクリスマスには、どこかしらに父の姿があった。だが母子家庭になった今、このサンタがうちにやって来ることはもうない。もう私の記憶のなかにしかサンタはいない。
新しく来るようになった2人のサンタ
サンタ(父)が来なくなった母子家庭の私の家。それでも幼い私の弟は未だサンタの正体を知らず、クリスマスとサンタがやってくるのを今か今かと待っている。
まだ何を頼むか決まっていないんだ!
1つじゃなくて2つ頼んだらダメかな?
サンタってどうやってプレゼントを渡しに来るんだろう?
弟の一言一言が私の胸に突き刺さる。突き刺さるのはサンタの正体を私が知っているからではない。そのサンタは、我が家にはもうやって来ないからだ。
これじゃあいけない。私と母は顔を見合わせ考えた。
そして母子家庭になった年のクリスマスからは、私と母が幼い弟のサンタになった。
協力して弟の欲しい物をリサーチし、情報を共有。一緒に買い物に行った。弟はたいていゲームソフトをねだるものだから、私の存在は必要不可欠。母にはゲームソフトの区別がつかないから…。
そういったゲームソフトの他には、私は私で母とは別で小さなプレゼントを用意した。私もかつての父のようにサンタの真似事がしたかったのだ。
私はクリスマスイブの日中にコンビニやスーパーに走り、弟が好きな細々したおもちゃやお菓子を買う。そして適当な折り紙や色紙で包み、イブの夜に弟の枕元に置く。
私のお小遣いでは弟に対したものを買うことはできなかったが、気持ちよく眠る弟を眺めながら置くプレゼントは、私を幸せな気分にしてくれた。かつての私の父もこんな気持ちだったのかもしれない。
記憶のなかの皆のサンタ
イベントごとが減ってしまった母子家庭の我が家。それでもサンタはやって来た。父ではない、私と母という2人のサンタだ。
サンタは1人減ったが、2人増えた。プラマイゼロではない、プラス1だ。弟はもらえるはずの1つのプレゼントが2つもらえるようになった。なーんだ、得してるじゃないか。
そんな弟もサンタの正体をもう知ってしまった。綺麗な包装紙で包まれたゲームソフトのプレゼントの正体も、あの雑に包まれたちっちゃなプレゼントの正体も弟は知っている。
だが、弟に「あの時の俺からのプレゼントどうだった?」とは聞くことができないし、聞くつもりもない。興味はあるけれど…。
サンタはいつも皆の記憶のなかにいる。私にとってのサンタがそうだったように、弟にとってのサンタもそうであればいい。その存在をとやかく言うつもりは私にはない。
あと3日。クリスマスは、サンタは、今年も皆のところにやって来る。
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